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安定成長の時代に入ったわが国にとって、成熟した先進国家に求められる「豊かで安心でき生きがいを感じる真の福祉社会」を築くことは最重要課題の一つであり、「高度医療・健康産業の発展、振興と普及」がその基盤となります。「臨床医工学・情報学」はこのために必須の新規学際融合領域であり、この領域が社会・医療・患者ニーズに適切に調和しつつ発展することがきわめて重要であると考えられます。
臨床医工学・情報学は、医学、歯学、薬学、栄養学、工学、ナノテクノロジー、情報学が連携する学際領域であり、高度医療の実現とその普及に必須であるとともに、医療機器・システム、医療サービス、新薬開発など、国際的競争力を必要とする多くの知識集約型産業を生み出す源泉であります。また、この領域は、高齢化社会のインフラや生活基盤技術の提供に資するところです。
したがって、臨床医工学・情報学は将来多くの若者が夢をもって活躍する領域となります。本領域が発展するために、最先端の工学・情報学と医学・医療の双方に精通した、意識の高い医療者・技術者・研究者が求められています。しかしながら、現在はこのような人材は極めて稀少です。それゆえ、この領域を担う人材を重点的に育成することは喫緊の課題であり、そのためには適切な人材育成システムを構築することが急務であると考えられます。
また、この領域はその特性から多くの女性が活躍することが期待され、女性人材の育成に特段の配慮を行うことが肝要とも考えられます。
本学際領域の発展に必須の人材育成には、多くの専門分野の教育が必要であり、かつそれらが有機的に連携しなければなりません。
このような人材育成は、現在の大学の教育体系では十分には行われ難く、また、一つの教育機関でこれを実施することはきわめて難しい状況にあります。理系分野、特に医療系の人材育成には、座学ばかりでなく演習・実習を伴う実践体験型の教育を行うことが必須であり、高度な専門的知識や設備が必要であります。そのため、理系の連携教育はこれまでほとんど実現していませんでした。
そこで、関西の特色ある私立・国立教育機関が協力しながら、それぞれの独自性を生かし、個性に富む実践体験型カリキュラムを提供することで、日本唯一の大学学部学生を対象とした「臨床医工学・情報学領域」の連携教育を展開するためのシステム構築に関するプロジェクトを立案し、これが文部科学省戦略的大学連携支援事業として採択されました。
学部学生を対象とする「臨床医工学・情報学領域」人材育成にあたっては、高い専門性を獲得するための基盤となる広い視野、先見性、そして倫理・道徳を有する優れた職業人・研究者の育成を目指し、専門教育に加え、医学・工学分野における職業・研究・生命倫理教育と地域活性化システム論などの社会科学教育も取り入れます。
さらに、理系分野の裾野の拡大をはかるため、スーパーサイエンスハイスクールにより理科・数学教育を重点的に行っている高等学校との連携(高大連携)および理系分野の女性人材の育成に取り組むことにより、将来、広く学際融合分野で活躍する素養を持った人材の増加と男女共同参画社会の実現に寄与できるものと考えています。